DREAM


 
 ふと、真夜中に目が覚めた。
 違和感を感じて思い瞼を瞬かせると、酷く間近に影を落としたスカイブルーの瞳とかち合った。こんな時ばかり、ソルジャーである自分の視力の良さに感謝をする。
「……クラウド?」
 名前を呼んで指を伸ばした。柔らかい金髪を撫でると、きらりと光る綺麗な涙に白い頬を濡らしているクラウドに気付いて、ザックスは思わず眉を顰める。
「クラウド、どうした?」
 髪を撫でた手を頭へと廻し、自分の肩へと顔を埋めさせるように引き寄せると、ザックスは擦れた声で囁くように問い掛けた。肩口で小さく嗚咽が漏れ聞こえ、それが普段は勝気なクラウドを酷くか弱いものに思わせる。
「居なく、なるなよ」
「……何の話だよ?」
「俺を置いて、逝くなよ」
 すん、と耳元で鼻を啜り告げられた言葉にザックスは軽く瞳を見張り、それから呆れたように肩を竦めた。
「変な夢、見たんだろ? 本気にすんなって、馬鹿だなぁ……お前」
「……どんな時でも、俺を守らなくても良いから」
「なぁ、クラウド。お前らしくねぇぞ?」
 何時もならば「そうだな」と一つ頷いて引き下がる筈のクラウドの髪を、その不安を取り除こうとザックスはくしゃくしゃと乱し撫でる。
 そんなザックスの労わりに何も言葉を返さず、クラウドはただ埋めた顔をザックスの肩口へと埋め押し付けた。

 それは 正夢 前触れの夢




2007.09.18